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1日8時間、椅子に座っている。夕方になるとおしりの同じ場所が痛くなる。だからクッションを買おうと考えている。ここまでは、たいていの人が通る道だと思います。
ただ、クッションを買っただけで解決した人と、買ったのに変わらなかった人がいます。その差は、選ぶ前に何を知っていたかで決まります。
この記事では、買う前に押さえておきたい3つのことを整理してまとめてみました。
座りっぱなしで何が起きているのか

先に仕組みを見ておくと、クッションで解決できる範囲がはっきりしてきます。
座っているとき体重は椅子の座面へ一点に集まります。おしりの骨が当たる部分に、上半身の重さが集中する形。同じ場所に長く力がかかり続けると、そこが痛くなってきます。
そして、人は痛くなると姿勢を崩します。
片側に寄りかかる、前のめりになる、足を組む。崩れた姿勢は、また別の場所に負担を集めます。この繰り返しが、夕方の重さになって出てきます。
クッションが担当できるのは、この一点だけ
クッションができるのは、集まった体重を面に散らすことです。当たる場所を広げることで、一点にかかる力を下げます。
逆に言えば、クッションにできるのはそこまでです。座る時間そのものを減らすことも、机の高さを変えることもできません。この線引きを知らずに買うと、「変わらなかった」になります。
知っておくこと①|厚みを足すと、机との関係が変わります
クッションを敷くと、座面が上がります。厚さ5cmのものなら5cm、20cmのものなら20cm。ところが机の高さは変わりません。結果として、相対的に机が低くなります。
机が低くなると、どうなるか
肩がすくみ、肘が窮屈になり、前かがみになります。おしりの痛みを取ろうとして、肩と首に負担を移し替える形です。
| クッションの厚み | 起きること |
|---|---|
| 2〜5cm | ほとんどの机でそのまま使える |
| 5〜10cm | 椅子の高さ調整が要ることがある |
| 10cm以上 | 椅子を下げるか、机を上げる前提 |
先に測っておくこと
買う前に、いまの座面から机の天板までの高さを測ってください。この差が28〜30cmあると、多くの人が無理なく作業できると言われています。
この差がすでに小さいなら、厚いクッションは合いません。逆に差が大きすぎる(机が高い)なら、厚みを足すとちょうどよくなることがあります。
知っておくこと②|「へたる」までが本当の性能です

買った直後は、たいていのクッションが快適です。問題は使用3ヶ月くらいです。
安いウレタンや綿のクッションは、毎日8時間の体重でどんどん潰れていきます。潰れると、座面の硬さがそのまま伝わるようになり、買う前と同じ状態に戻ります。
へたりを見分ける、買う前の3つの手がかり
| 手がかり | 見るところ |
|---|---|
| 中身の素材 | 高反発ウレタンか、綿・低反発か |
| 層の作り | 1枚ものか、硬さの違う層を重ねているか |
| 厚みの余裕 | 薄いものほど、潰れたときの逃げ場がない |
低反発は座った瞬間の気持ちよさが際立ちますが、長時間だと沈み込んだまま戻りません。沈めば、結局は骨が座面に近づきます。デスクワークのように長く座る用途では、押し返す力のある高反発のほうが向きます。
違いは高反発と低反発の違いで詳しく扱っています。へたりにくさそのものはへたらない座布団の選び方にまとめました。
知っておくこと③|クッションでは変わらないこともあります
正直に書きます。座りっぱなしの困りごとのうち、クッションで手が届くのは一部だけです。
| 困りごと | クッションの守備範囲 |
|---|---|
| おしりの一点が痛い | ◎ ここがいちばん得意 |
| 座面が硬い・冷たい | ◎ 素材で変えられる |
| 姿勢が崩れる | △ 形によっては支えになる |
| 肩・首の張り | × 机と画面の高さの話 |
| 足のむくみ | × 立つ回数の話 |
後ろの2つは、道具ではなく使い方の領域です。1時間に一度立って歩く。画面の高さを目線に合わせる。この2つは、どんなクッションを買っても代わりになりません。
クッションは、座っている時間を快適にする道具であって、座っている時間を減らす道具ではありません。ここを分けて考えると、買い物で失敗しなくなります。
おすすめのクッションの選び方
1. 使う場所を決める
椅子の上か、床か。場所で必要なものが変わってきます。
椅子なら、座面に載せて安定する大きさが要ります。大きすぎると縁が垂れて座り心地が悪くなります。床なら、体重が直接かかるぶん厚みが必要です。
2. 厚みを決める
①で測った机との差から逆算します。差が28cmより小さいなら薄いもの、大きいなら厚いものが入る余地があります。
3. 中身の素材を見る
毎日長く座るなら、押し返す力が続くものを選んでください。ここでけちると、3か月後にもう一度同じ買い物をすることになりかねません。
4. 洗えるかを確かめる
毎日座るものなので、汗も皮脂も付きます。カバーが外せて洗えるかどうかは、長く使ううえで効いてくるところ。中身まで洗えるものは少ないので、カバーが別売りであるかも見ておくと安心でしょう。
厚みで選ぶなら、こういう選択肢もあります

厚みのあるクッションの例として、雲のやすらぎのクッション座布団を挙げます。
販売元の株式会社イッティが出した発売時のプレスリリースによると、寸法は縦45cm × 横45cm × 厚さ20cm、素材はポリエステル100%です。硬さの異なる素材を重ねた5層の作りになっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイズ | 縦45 × 横45cm |
| 厚さ | 20cm |
| 素材 | ポリエステル100% |
| 構造 | 硬さの異なる素材を重ねた5層 |
厚さ20cmは、この記事の①で書いた注意がそのまま当てはまります。椅子に置けば座面が20cm上がります。机との差が足りていれば快適になりますが、足りていなければ肩がすくみます。
床に座って使う、あるいは机が高めで困っている。そういう方には向きます。逆に、いまの机との差がぎりぎりなら、薄いものを選ぶほうが無難です。サイズの話は雲のやすらぎのクッション座布団はサイズが合わない?に、3つの後悔する例を挙げて書きました。
正直に言うと、クッションより先にやることがあります
ここまで選び方を書いてきましたが、順番としては先にやるべきことがあります。お金がかからず、効果も分かりやすい2つです。
1. 椅子の高さを合わせ直す
多くの人は、買ったときのまま使っています。座面から机までの差を測って、椅子の高さを1段階変えるだけで、座り心地が変わることがあります。
足の裏が床にしっかり着いているか。膝の角度が窮屈になっていないか。この2つだけ確かめてください。足が浮いていると、体重がすべておしりに集まります。
2. 1時間に1回立つ
身も蓋もない話ですが、これがいちばん効きます。立って水を汲みに行く、それだけで構いません。
座りっぱなしという言葉のとおり、困りごとの正体は「同じ姿勢が続くこと」です。姿勢が変われば、力のかかる場所も変わります。クッションは同じ姿勢の中での負担を散らしますが、姿勢そのものを変えることはできません。
この2つをやったうえで、それでもおしりが痛いならクッションの出番です。正しい座り方は基本の座り方にまとめてあります。
座る場所ごとに、選ぶものが変わります
同じ「座りっぱなし」でも、どこに座っているかで必要なものが変わります。3つに分けて見ていきます。
事務椅子・ワークチェア
いちばん多い場面です。座面がすでにクッション状になっているので、足すのは薄めのもので足りることが多いところ。厚いものを重ねると、①で書いたとおり机との差が崩れます。
座面が布張りなら、滑り止めが付いているかも見てください。滑るクッションは座り直すたびにずれて、かえって姿勢が崩れます。
ダイニングチェア・木の椅子
座面が硬く平らなので、クッションの差がいちばん出る場所です。厚みも入れやすく、5〜10cmくらいまでなら机との関係も崩れにくいでしょう。
ただ、木の椅子は座面が四角いことが多く、丸いクッションだと角が余ります。形も合わせて選んでください。四角い座面には四角いものが素直です。
床・座椅子
床に直接座る場合、体重を受けるのは座布団だけです。椅子と違って逃げ場がないので、厚みと復元力が要ります。
薄い座布団を重ねてしのぐ方がいますが、間で滑って安定しません。1枚で必要な厚みがあるものを選ぶほうが結果的に快適です。床座りの話は床座り用の座布団にまとめてあります。
夕方だけつらいなら、原因は別かもしれません
朝は平気なのに夕方だけ、という方は少なくないでしょう。この場合、座面よりも「積み重なった時間」のほうが効いています。
午前中に集中して座り、昼を挟んで午後もまた座る。合計すると6時間を超えていた、という日は珍しくありません。同じ姿勢の合計時間が、しきい値を越えたところで出てくる形です。
だとすると、対策は分割になります。午前と午後の間に、5分だけ座らない時間を作る。クッションと組み合わせると、片方だけのときより差が出るはずです。
朝からつらいなら、椅子そのものを疑ってください
座り始めてすぐ気になる場合、原因はクッションで補える範囲を超えている可能性があります。座面が体格に合っていない、奥行きが深すぎて浅く座る癖がついている、といったことです。
この場合、クッションを足しても土台が変わりません。椅子の調整を先にやってから、それでも残るぶんをクッションで埋めるという順番のほうが、遠回りに見えて早道でしょう。
買ったあと、効いているか分からなくなったら
クッションを敷いても、数日経つと感覚が慣れてしまいます。良くなったのか、そうでもないのか。そこが分からなくなる人は少なくないでしょう。
1週間だけ、記録をとってみてください
手帳の隅でも、スマホのメモでも構いません。夕方に「今日はどうだったか」を三段階で書くだけです。良かった日と、そうでもなかった日を並べると、原因が見えてきます。
| 記録すること | なぜ |
|---|---|
| 夕方の感じ(3段階) | 比べる基準になる |
| その日の座っていた時間 | 時間が長い日ほど差が出る |
| 立った回数 | クッション以外の要因が分かる |
やってみると、クッションよりも「立った回数」のほうが効いていた、という日が出てきます。それが分かれば、次に何を変えればいいかも決まります。
合わなかったときは、置き場所を変えてみる
椅子で合わなかったクッションが、床では快適だったという例はよくあります。その逆も同じ。捨てる前に、別の場所で試してみてください。
厚いものなら、床に座るときの座椅子代わりになります。薄いものなら、車の後部座席や来客用に回せます。合わなかったのは相性であって、品物の良し悪しとは限りません。
座りっぱなしとクッションについてよくある質問
Q. ゲルタイプと高反発ウレタン、どちらがいいですか
座面が硬くて冷たいのが気になるならゲル、長時間の沈み込みが気になるならウレタンです。ゲルはひんやりしますが、冬は冷たく感じる方もいます。
Q. 円座(ドーナツ型)はどうですか
穴の位置が自分に合えば、当たる場所を避けられます。ただし合わないと、縁が別の場所に食い込みます。試せる環境がないなら、まずは平らなものから始めるほうが外しません。
Q. 車の運転にも使えますか
厚いものは視界と足元の位置が変わるので、注意が要ります。運転席は数センチの差でペダルの踏み込みが変わる場所です。デスク用に選んだものをそのまま車へ持ち込むのは避けてください。
Q. どのくらいで買い替えるものですか
毎日長く座るなら、目に見えて薄くなった時点です。座ったときに座面の硬さが伝わってきたら、役目が終わっています。寿命の話は座布団の寿命にあります。
Q. 会社の椅子に置いても浮きませんか
色を選べば気になりません。黒やグレーなら、たいていの職場になじみます。厚すぎると机との差で目立つので、そこだけ気をつけてください。
Q. 予算はどのくらい見ておけばいいですか
用途によって幅がありますが、毎日8時間座るなら、数千円のものと1万円台のものでは3か月後の姿がかなり違ってきます。安いものを1年で3回買い替えるくらいなら、へたりにくいものを1つ選ぶほうが結局は安く済むでしょう。
Q. カバーは別に買ったほうがいいですか
あると洗い替えができて便利です。とくに夏は汗を吸うので、2枚あると回せます。純正のカバーが出ているなら、サイズが合うぶん扱いやすいはずです。
まとめ|買う前に、メジャーを1本持ってきてください
3つのことを書きました。厚みは机との関係を変えること。へたるまでが本当の性能であること。そして、クッションで変わらない部分があること。
このうち、いちばん実害が出やすいのは1つ目です。座面から机までの高さを測る。これだけで、買い物の失敗はかなり減ります。
測った数字が手元にあれば、厚みが決まります。厚みが決まれば、選択肢は一気に絞れるはず。あとは中身の素材と、洗えるかどうかを見るだけです。
それでも迷ったら、いまの椅子の高さを1段階変えてみるところから始めてください。お金がかからず、その日のうちに結果が分かります。それで足りなければ、そのときクッションを足せばいい話です。
